修学院離宮の宮内庁職員による名ガイドを再現
仙洞御所や修学院離宮、桂離宮はガイドツアー形式の参観になっており、宮内庁職員さんがガイドしてくれます。ガイド担当は数人おり、ガイドによって案内する内容も語り口も様々です。昨年、仙洞御所で取り上げた方が修学院離宮に異動になったので、紹介します 取材日は2019年3月16日
Update Date : 2019-09-25 14:54:37
Author : ✎ MKタクシー


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当日参観で13:30の部に参加。受付に到着したのは13:25とギリギリでしたが、まだ枠に空きがありました。週末は当日枠も埋まることが多いのですが、朝が雨だと空いている場合も多く、狙い通り
ガイド役の職員は、仙洞御所から異動になった方です。修学院離宮に異動になっていたのは知っていましたが、ガイドに当たるのは初めてで、期待が高まります 修学院離宮の参観は今回で10回目くらいになります。仙洞御所、桂離宮もそうですが、ガイド担当者はそれぞれ数人いるようで、誰にあたるかは運次第です。同じ人に連続して当たることもあれば、ガイド担当初日の新人さんに当たったこともあります。簡単なマニュアルはあるようですが、人によって案内するポイントは結構異なりますし、同じ人でも日によって異なります 単に案内文を読み上げるだけのような人もいれば、軽妙な語りで笑いを取りまくる人もいます 今回、ガイドの一部を記憶の範囲で再現してみます。ただし他のガイドの説明と重複する部分は全てカットしています。そのためこの記事で修学院利休の全容は理解できないのでご承知置きを。


修学院離宮ガイド
よくガイドさんと言われますが、私たちは宮内庁の職員で国家公務員です。去年の秋に修学院離宮に異動になりましたが、それまでは仙洞御所に勤務しており、かつては桂離宮にも勤務していました。修学院離宮には若いころにも勤務していました。後ろをついて回るのも警備員ではなく、皇宮護衛官です 標準語は話せませんので、関西弁でがなりたてるので、うるさく感じるかもしれませんが、ご理解ください。今日は雲行きが怪しいですが、皆さんの日頃の行いが悪ければ雨に降られますが、大丈夫ですよね ここから最高所までは標高差が40mあります、13階のビルを登るのに相当する高さなのでご注意を。以前、96歳の方が杖も使わず自分の足で歩かれていたので、皆さんは心配いらないと思いますが
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修学院離宮は、桂とは異なり宿泊機能はありません。仙洞御所から日帰りで遊びに来ていました。毎年平均3回くらい来ていたそうです
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下離宮
上皇が入る御幸門です。上皇は菱形が好きだったため、ここにも花菱がかたどられています。離宮内はあちこちに菱形があるので探しながら回るのも楽しいですよ では、皆さん、御幸門から入ります。以前は脇から入っていたのですが、今は参観者の皆さんは「上皇待遇」です
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これが離宮内でも最も有名な「鰐口灯籠」です。サメ(鰐)が口を開いたような独創的な形をしています
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今はお茶室が一軒しかありませんが、昔は別に建物があり、このあたりには二階建ての茶屋がありました。今は管理の都合上、離宮と周囲には結界がありますが、昔は開放的で、二階から京都の街を眺めながら楽しんだそうです
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寿月観
この絵は夜の景色を描いたものです。なぜ夜だとわかるのかというと、絵の上にお月様があるからです。この半円が月を表しています 一見すると雨漏りでてきた染みのように見えますが、細かい演出なのです。こういうのをきちんと理解しないと修復のときにうっかり消してしまうので、なかなか難しいところです
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20代のころにも修学院離宮で働いていましたが、若いころ建物ひとつとっても良さがわかりませんでした でも唯一関心したのがこの隅にある突起の金具。安普請で補強が必要かのように見えますが、ここに金具があることで、雨戸を角で回転させることができるのです。このおかげで雨戸は裏にある一ヶ所の戸袋にまとめることができ、開放的な視野を確保できるのです
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馬車道
離宮の外に出てしまったようですが、見える範囲のほとんどが離宮です。左奥遠くに見える比叡山はさすがに違いますが
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このあたりの田で作られる米は「修学院離宮米」という超ブランド米です。ただしこの程度だと自家消費分くらいしか作れないので、市場に出回ることはありません 農家さんには、格安の地代で貸す代わりに田んぼにしてもらう約束をしていますが、最近は高齢化が進み、一部畑作を認めざるをえなくなっています
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この竹を超えるといったん一般道に出ます。ここは離宮の敷地ではありません。農家さんはこの道を通って農作業に来ます。一般の方は立ち入り禁止で、たまに間違ってこの道に観光客が入り込んで、飛んできた皇宮警察にとっつかまるという事件が発生します。あれこれ調書を取られたり大変なことになるのでご注意を ここに異動になると、まず農家さんに顔を覚えてもらうことが大事です。そうしないと農家に通報されてすぐ皇宮警察が来ます。たくさんの警備員がいるようなものです
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中離宮
中離宮は楽只軒と客殿のふたつの建物からなります。建物の間は階段で結ばれているのですが。この階段は段差がバラバラで、知らずに上ると必ず向う脛をぶつけることになります。元は尼寺だったので、防犯のためと言われています
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離宮内はルート上ならどこで写真を撮ってもらってもいいんですが。その橋の上だけは撮影禁止です。前もそこから落ちた人がいて、泥に埋もれたカメラを探すのにひと騒動ありました
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これが天下の三名棚のひとつとして知られる「霞棚」です。あとの桂棚は一般公開はなく、醍醐棚もまれにしか公開されません 残念なのは、この真ん中の柱。ど真ん中にあってとても邪魔ですよね。でも、この柱は魔法を使うと消すことができます
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こうやって雨戸を動かすとあら不思議。斜めから見ると見事に柱が消えます。しかも斜めから見ることで棚がいっそう立体的に見え、名棚のゆえんがよくわかります。これをやってくれる職員は私だけなので、皆さん確実に撮影しておきましょう
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そこにおいてある紐で縛られた石は「関守石」といい、立ち入り禁止を意味しています。立ち入り禁止と書いてあったら無粋でしょう
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あそこの鯉の絵は、夜な夜な抜け出すので、あとで円山応挙が網を書き足したものです。裏側には子供の魚も描かれていますが、これが鯉ではなく鮒です
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修学院離宮では、若手は宿直勤務があります。深夜に一人でこの広大な離宮を見回りに行くのですが、真っ暗な中を歩くだけでも怖いのに、先輩からいろいろ怪談を聞かされ、ビビりながら回ったものです。この井戸を覗いたら・・・とか
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奥の欄間は「逆波の欄間」と言われ、波をかたどっています。波しぶきまで再現されています。手前の「網干の手摺」とあわせて海をイメージした空間になっています
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奥にある小さな穴からは、緊急時には外に脱出できるようになっています
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瓦の1枚1枚に菊の紋がついています。十六弁菊花紋は皇室の象徴で、天皇と皇太子が使いますが、実は微妙に異なります。秋篠宮などの宮家は十四弁の菊花紋です 一般の方が使うことは禁じられていますが、もうひとつの皇室の紋である桐紋は誰でも自由に使うことができます
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馬車道
馬車道の両側に植えてある赤松は樹齢100年を越えていますが、特殊な剪定をすることで高さを押さえています。御所には「御所すかし」という特殊な剪定方法が受け継がれてきたのですが、最近は予算の削減によって一般競争入札による外注になってしまいました。松は剪定によって形が変わってしまうので、今の形が維持されるか戦々恐々としています
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上離宮
いよいよここからが修学院離宮のメインディッシュである上離宮です。夏の猛暑時には、暑さのあまりにここで帰ってしまった方もいましたが、今日は大丈夫ですね
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ここから一気に最高所にある隣雲亭まで上りますが、楽しむためのコツは、前だけを見て登り、到着してからはじめて周囲を見回すことです。足元だけを見て登るようにしてください
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登り切った方は、さあ回りを見てください。下には浴龍池と京都の街が広がる絶景です。下からみたときは想像もつかないような景色でしょう 修学院離宮は上皇が木の一本一本、石の一つ一つまで自ら設計したと言われます。桂離宮が智仁親王が客人をもてなすために作られたのに対し、修学院離宮は上皇が自ら楽しむために作られたという違いがあります
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ここはお茶室ですが、千利休風の躙り口があるような茶室とは全く異なります。上皇はこのような開放的な空間を好んだのです
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この奥に雄滝という滝があり、比叡山から流れ出る音羽川の水を引いていたのですが、去年の台風21号により、水路がふさがってしまい、今は流れていません。 修復には1千万円くらいかかるとされ、年間予算を超過するために手を付けられていません。
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台風21号は関西の宮内庁関係の施設にも大きな被害があり、特に京都御所は大きな被害がありました。総額5億円とも言われます 京都御所は譲位関係などでも使われるためすぐに修復されましたが、近々に利用の予定がない修学院離宮は後回しにされてしまっています
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あの橋は、1824年に京都所司代によって寄進された千歳橋です。できた当時は離宮に似合わないと散々な評価でしたが、今はなじんでいます あの橋を渡ると寿命が千歳延び、戻ってくると千歳縮まるとか
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ここが唯一、上皇の時代から残る建物の窮邃亭です。ここは窓の板の厚みを場所によってわざと変えており、光をある程度通すようになっています。夏の夕暮れに窓を閉じると、板を通して入ってくる夕日によって中は紅葉したように真っ赤に染まるという趣向です。ただしそれが見られるのは職員だけです。
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このあたりは馬酔木ばかりが目立ちますが、鹿が食べないためです。最近は離宮には鹿に猿に猪に狸・・・とまるで動物園状態です。熊の爪痕がついた木もあります
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浴龍池は、舟遊びもできる設計で、霊元上皇は25人乗りの和船を持ち込んだと記録にあります。ここまで持ってくるのはさぞかし大変だったことでしょう。
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ここからは京都タワーなども見えますが、はるかかなたにはあべのハルカスまで見えます
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この混ぜ垣はなんと66種類もの木が使われています。普通に刈り込むことはできないので、下からもぐりこんでところどころで頭をだし、長刀のような道具で振り払うように刈り込みます
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あの島のビニールシートがかかっているところには、田舎のバス停のような形状の休憩所がありましたが、台風21号で倒壊してしまいました かつてダイアナ妃が訪日したとき、皇太子の案内で離宮を回ったのですが、長身な上に帽子をかぶっていたダイアナ妃は座るときに天井に帽子をぶつけ、帽子が落ちるというハプニングがありました。ちょうどそのとき、このあたりにはカメラを構えたマスコミがずらりと並んでいたのですが、そんな写真を出回らせるわけにはいかないので、頭を下げて回ったことがあります
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こちらは高さ50cmの雌滝です。ここからだけだと水量不足で、これから農繁期になると水不足になる可能性があり、早急な雄滝の復旧が望まれます
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馬車道
「修学院」とはこのあたりの地名で、平安時代に創建され、室町時代に廃絶した修学寺という寺院に由来します。当初は「修学寺のお茶屋」とか「修学寺の山荘」と言われていましたが、お寺もないのに不自然だということで、修学院へと変わりました。なお本来あh「しゅがくいん」という読みが正しかったのですが、戦後になってNHKに取り上げられるときに振り仮名をふっていなかったため「しゅうがくいん」と放映され、その後それが定着してしまいました。 修学院は一年でいつが最も良いか、という質問をよく聞かれます。やはり紅葉シーズンがお勧めですが、11月の参観受付がはじまる8/1には毎年山のように往復はがきが届き、即日枠は埋まって抽選となる狭き門です。当日受付もはじまりましたが、11時から受付開始なのに、朝6時半から並ぶ人もいるくらいです もう少しお手軽な時期だと、これからの桜や新緑の時期が良いですし、冬は池が最も美しく見えます。四季を通じてよいところがあります
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修学院離宮と桂離宮のどちらが好みかは、人によって真っ二つに分かれます。修学院離宮は「目で感じる庭」と言われるのに対し、桂離宮は「目で考える庭」と言われます。桂離宮は、細かいテクニックが随所に施されており、それをひとつひとつ読み解きながら回る楽しみがあります。一方の修学院離宮は、雄大な自然の景色を愛でながら回るのが楽しいです アメリカの雑誌が毎年発表している日本庭園ランキングでは、開始以来16年連続足立美術館が1位です。もちろん足立美術館も素晴らしいのですが、やはり日本人とは尺度が異なる部分があります。足立美術館は建物から絵画のような庭園を楽しむことに対し、離宮は歩いていろいろな角度から変わりゆく景色を楽しむという違いがあります。何より職員の良しあしはランキングの対象外です。なお桂離宮は16年連続2位です 桂離宮は去年の1月から有料参観へと変わりました。首相官邸の意向で、維持管理のための費用を参観者に負担してもらうためとのことですが、果たして参観料が離宮の維持管理に使われるかはわかったものではありません。ただ、有料化でこれまで多かった外国人が激減し、定員増もあって参観のハードルが下がったのは評判が良いみたいです。修学院離宮は有料化の予定はありませんが
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今日は調子に乗ってしゃべり過ぎたので、次の組が来てしまいました。 これに懲りずに、また修学院離宮に来てください!
参観で時間が延長になったのは初めてです。結局10分超過しましたが、大満足でした
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