ロッカールームで「おはよう」と声をかけられる。今日も皆に会えたことが嬉しくてひとしきり騒ぐ。よし今日もやるか、気持ちを切り替えて５Ｆへ向かう。コールセンターに上がると「お疲れ！」と後ろから頭を叩かれる。くそう今日もやられた。でもあいつも元気そうだ。安心しながらお疲れと返す。ああ今日も一日頑張れる、嬉しくなる 一年前の自分は電話が嫌いだった私がコールセンターで毎日電話を取っているなんて想像もしなかっただろう。しかも夜勤で札幌と名古屋の電話を、だ。辛くても生活リズムが逆転しても、ここまで来られたのは周りにいてくれた人のおかげ、以外のなにものでも無い 夜勤明けで眠いだろうに、ごはんに行こうと誘う。いいよ、何を食べようかと乗ってくれる同期がいる。どの店もモーニングばかりでつまらない、もっとがっつり食べたいのに、そんな文句を言いながら仕事や趣味の話で盛り上がる。遊びにいこうと計画を立てる。休みを探しては予定をいれる。ＵＳＪに行ったし温泉にだっていった。体力が続く限り幾らでも遊ぶ。そんな仲間が私の周りにはいつもいるのだ 社会で働く事の充実感とは何か。一年前の私が就職するにあたって真っ先に考えていたのは仕事の内容、だった。社会人として楽しんで仕事をできるかどうかは仕事の内容によると信じていた。しかしそうでは無かった。本当に重要で一番自分を支えてくれるのは人と人との繋がりだ。私はそう確信している 今、私は毎日が幸せだ。何気無い会話が私の居場所を作って、疲れを吹き飛ばしてくれる。だから仕事も楽しくなる。皆がいなければとっくに諦めていたかもしれない。それほど私にとって同期の存在は大きい この先ずっと一緒にいられるわけでは無いだろう。それでもここで出会えた奇跡に感謝して、ずっとこの繋がりを大切にしていきたい。照れくさいが伝えたい。いつも一緒にいてくれて有難う、皆のことが大好きです、と

電話が嫌いだ。言葉のみのやり取りで相手の顔は見えないし、相手の感情は声音で察するしかない。そこにどんな意味が含まれていようとも、発した言葉が全てになる。自分の発した気持ちとは違う意味で受け取られやしないかと不安で、「不快な思いをさせていないだろうか」と怖くて堪らない ずっとそんな考えでいたからだろう、身内との電話も嫌いだ。全く面識のない相手との電話なんてもっと無理だと、大学時代全くアルバイトを決められず、インターネットで受付をしていた所に応募した程である。そのアルバイトでも、仕事中上司への判断を仰ぐ際は主に電話でのやり取りで、シフトの変更依頼も電話で掛かってくることが多かった。電話を掛ける時も掛かってきた時も常に胃がキリキリ傷んだ。大学生の間はずっとそのアルバイトをしていたので上司のことはよく知っているし、プライベートでも仲良くして頂いた。電話をした回数は家族や友人以上に多かった。それでも電話に慣れず、電話に対する苦手意識は消えなかった。就活のときは常に胃がキリキリしていたのは言うまでもない そんな自分がコールセンター配属になってもうすぐ1年が経つ。コールセンター配属の可能性の高さを理解した上で入社したものの、自分がやっていけるのか不安になった昨年の4月。あっという間に年末の繁忙も乗り越えてなんとか今日までたどり着いた。気付けばあれだけ嫌いで苦手で仕方のなかった電話に対しての激しい抵抗感はなくなっている。日々多くの電話を取っていれば慣れて当然かもしれないが、私はそれだけではなく、優しくも厳しい先輩たち、辛いときに支えてくれた同期たち、心が荒んでいるときにタイミングよく優しい言葉を掛けて下さったお客様のお陰だと思っている。相変わらず美容院の予約の電話すら掛けるのに勇気がいる電話嫌いの私だが、これからも電話嫌いだからこそ出来る、丁寧な対応を行えるように心掛けたいと思う

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