一般に、枝垂性のエドヒガンの品種を枝垂桜といいます。 枝の伸び方を支えるだけの強度が足りないため、自重を支えきれなくなり枝垂れが生じます。 ジベレリンというホルモンが遺伝的に不足しているために起こる一種の奇形です。 桜以外にも梅や桃などでも枝垂れ性の品種があります。 ここでは、ソメイヨシノよりやや開花が早い枝垂桜と紅枝垂桜を取り上げます。

多宝殿前で咲き乱れる枝垂桜群が有名です。高台にある望京の丘から見下ろすと、枝垂桜が建物を覆い尽くしているかのようです。 同じ枝垂桜でも、木によって淡紅色から濃紅色まであるので、良く観察してみるのも楽しいでしょう。 同時期にミツバツツジ、レンギョウ、コブシ、木瓜なども見頃を迎え、庭園内は華やかに色どられます。

京都盆地を借景として取り込んだ雄大な座観式庭園である「鳥獣の石庭」は、何といっても桜の季節がお勧めです。 桜と借景が一体になった見事な景色ですが、観光客は少なく、とても静かに味わうことができます。

3万坪の広大な敷地に林立するシダレザクラはまさに圧巻。 「桜守」として有名な佐野藤右衛門が精魂込めて手入れをしている桜です。 世界救世教の施設のためあまり知名度は高くありませんが、ここを見ずして京都の枝垂桜は語れないであろうという必見度です。 2017年の一般公開は3/30～4/5の一週間だけなのでご注意を。

開基である待賢門院にちなんで名づけられた本堂前の「待賢門院桜」で知られます。 紅枝垂桜の変種で、やや紫がかっているのが特徴です。 極楽浄土を再現した浄土式庭園を華やかに彩ります。 一重ではありますが開花は遅く、八重紅枝垂桜と同時期に開花します。

嵐山地区は案外桜の名所は多くはありません（あくまで紅葉との比較です）。しかし、渡月橋南詰に広がる中ノ島公園にも見事な枝垂桜があります。 4月中旬までのライトアップでも堂々主役をつとめます。

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