かつて理源大師聖宝が聖地を求めてこの山に来たとき、白髪の老翁が現れ、湧く泉を飲み、「ああ醍醐味なるかな」と嘆賞した。聖宝はこの奇瑞に驚喜して寺を建て、寺名を醍醐寺としたと言われる。 　下伽藍から上醍醐までは約３．４キロメートル上りの山道を歩く。汗をかきかき、ようやく「五大力さん」で有名な五大堂に到達。しんとした薄暗い堂内に厳しい顔つきをして目をひからせた不動明王と対峙する。供えられた線香から煙が一筋立ちのぼっている。修験道とも関係の深い上醍醐。諸堂は醍醐山上に散らばり、お参りは楽ではないが、時に眺めはすばらしく、ひときわ心にしみる。 　寺名の起こりとなった霊泉「醍醐水」は今も清瀧宮（せいりゅうぐう）拝殿のそばに湧き、万病に効くと言われている。

寺名の起こりとなった霊泉「醍醐水」は今も清瀧宮（せいりゅうぐう）拝殿のそばに湧き、万病に効くと言われている。

本尊の五大明王は五大力さんと呼ばれ、盗難よけ、火災身代わりの秘仏として信仰されている。２月２３日の五大力尊仁王会の護摩供の際には五大力餅を持ち上げる「力餅競べ」が行われる（現在は下醍醐金堂前で行われている）。

如意輪堂と並び最初に創建された。准胝観音を本尊とする。西国三十三カ所第十一番札所にあたる。

准胝堂と並び最初に創建された。現在の建物は豊臣秀頼が寄進。木組みが美しい。

上醍醐中最古の建築。西国薬師霊場第三十九番札所。本尊の薬師如来像は「箔薬師」と呼ばれ、病の治癒を願う人々が患部に箔を貼り付ける信仰があった。現在は下醍醐の霊宝館に収蔵されている。

薬師堂にある薬師如来は「乳薬師」と呼ばれ、女性の信仰を集め、おびただしい数の「よだれかけ」が奉納されている。薬師如来像自体は秘仏とされている。

阿弥陀堂（国宝）の本尊　阿弥陀如来は定朝様（じょうちょうよう）の国宝も素晴らしいが、内陣の上部の壁に描かれた「飛天」十体の愛らしさは例えようもない。

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