緊急政策提言 :人口減少社会における“活断層法”を活用した国土計画の再考を 蛭間芳樹 ( 株式会社日本政策投資銀行 )
アメリカ合衆国カリフォルニア州では、俗にいう「活断層法」ともいうべき法律が1972年に制定されている。 災害で大切な命が失われることのない社会をつくるために、日本にも活断層法を!
Update Date : 2016-04-27 03:42:20
Author : ✎ Kyoto Culture
この記事をシェアしてください。 ☺

緊急政策提言:人口減少社会における“活断層法”を活用した国土計画の再考を 蛭間芳樹 ( 株式会社日本政策投資銀行 )
諸外国の活断層対策――「活断層法」
1971年に発生したサンフェ ルナンド地震では地表断層の上では建物の被害が80%近くに達したのに対し、断層からわずかに離れた場所では 被害は30%にも達しなかった。 そこから、アメリカ合衆国カリフォルニア州では「Alquist-Priolo Special Studies Zones Act」、俗にいう「活断層法」ともいうべき法律が1972年に制定された。 まず、州の地質調査所が、断層被害が生ずる可能性のある幅約300mの特別調査地帯(Special Studies Zone)を設定する。ゾーン幅は1/4マイル(0.4km)程度。この特別地帯に対して、自治体は活断層地表痕跡の直上での新築・大規模改築に対して建設許可を与えてはならない。 さらに、調査によって活断層が発見された場合、断層から50フィート(15m)ほど建物をセットバックして建設することが義務づけている。 さらに、不動産販売者は購入者に対し、物件が断層ゾーン内に立地している旨を伝えることが義務づけられており、これは不動産価格に当然に影響する。 リスク情報を告知する義務が法的に課せられている。
図について 九州地区の活断層図 国立開発法人産業技術総合研究所 活断層データベースより(著者作成) https://gbank.gsj.jp/activefault/cgi-bin/search.cgi?search_no=j024&version_no=1&search_mode=2
日本全国の活断層マップと過去の災害履歴
日本の国土は、まるで活断層におおわれているような状況にあることが分かるだろう。1995年の兵庫県南部地震、2004年新潟県中越地震、2003年岩手県北部地震はいずれも、今回と同様の内陸での活断層型地震であった。国内では2,000とも、いや数万とも言われるような活断層、断層が存在していると言われているのだ。 このような状況にも関わらず、日本では活断層法は導入されていない。 第132回国会(常会)平成7年5月1日に、活断層対策に関する討議がなされているが、当時の結論は、活断層の観測強化に留まっている。法整備まで踏み込めない理由は、学会からは以下の点が主に指摘されているが、その後、特段の社会的な議論もなく、放置されているようにも思える。 <日本で活断層法が適用されない理由> ・断層特性が日米で異なる(カリフォルニアは主として横ずれ、日本は複数パターン) ・日本の断層パターンは複雑で、地表面に断層痕跡が出現しておらず、断層の位置情報が不確実である ・すでに活断層直上に居住している人口が多く、変更による社会的影響が大きい ・活断層情報が公開され、不動産取引にこれを適用すれば不動産市場の混乱を一気に招く
図について 日本全国の活断層マップと過去の災害履歴(著者作成)
緊急政策提言
現時点で断層ゾーンに該当する対象日本人は、総人口のうち2.3%(約289.3万人)、最も多い京都府で10%(約26万人)未満とされている。 (1)いま盛んに叫ばれている地方創生の文脈における地方への移住に際して、危険地域への人口流出インセンティブあるいは規制と、安全地域への流入インセンティブとを検討することはできないか。 (2)既存マーケットへの影響であるが、市場メカニズムに任せるくらいで良い。むしろ活断層に対する現在の科学的なエビデンスベースに基づく適正な情報を市場に提供しないと、そもそも適正な価格形成ができないばかりか、歪な需給関係に基づくマーケットが形成されてしまい、誰かが過剰にリスクを負わされてしまいかねない。現状、負担しているのはアセットオーナーだろう。 (3)情報精度の高い断層のハザードマップの開示とそれを用いたリスクコミュニケーションを積極的に行っていく。
図について 活断層近傍に住む人口の割合(出典:目黒公郎、大原(吉村)美保 人口減少社会における活断層対策の展望 活断層研究28号 23-29 2008)
プロフィール『蛭間芳樹』
危機管理や防災の技術と金融の技術を組み合わせたいと思い日本政策投資銀行へ入行しました。
今後、日本では確実に大きな災害がおこります。例えば、地震災害に関して言えば、平成の関東大震災、南海トラフ巨大地震による関西大震災です。 それを、いつ起こるかわからないための準備ではなく、通常のビジネスの中で回る仕組みとして準備をしていきたいです。 現在は、BCM(Business Continuity Management)格付融資の仕事をしています。 BCM格付けとは、企業にお金を投融資する際の価値評価の中に、 「災害が起こった時に、従業員の命を守り、どうやって通常のビジネスを続けるのか」 という項目も含めて融資の利率を決定する商品です。 一般に金融というと「お金儲け」の視点から市場価値の向上や株の配当をどう増やすかと考えられがちですが、BCM格付けは、利益だけではなく中長期的に災害が起きた時にも事業を続けることができるのかといった点を見極め融資しているのが特徴です。
2009年、東京大学大学院工学系研究科卒業。世界経済フォーラム ヤング・グローバル・リーダーズ2015選出。専門は社会基盤学、金融、レジリエンス。防災や危機管理に関する政府、民間、大学の公職多数。2009年よりホームレスが選手のサッカー日本代表チーム「野武士ジャパン」のコーチをボランティアで務め、2011年にホームレス・ワールドカップ・パリ大会に出場。
災害で大切な命が失われることのない社会をつくる
私は災害を、こうとらえています。 インプット   :自然現象そのもの 地震、津波、台風、雪 システム  :構造、組織、社会、都市/地域・・・ハードウエア、ソフトウエア、ヒューマンウエアで構成される アウトプット :応答、事態、影響 インプットは専門用語でハザードと言いますが、昔から変わりません。地球そのものの活動だからです。地震は100年前も1000年前もありました。そして100年後、1000年後もあります。では何が変わったかというと、システムです。システムというのは、建築物やインフラ、企業などの組織、地域や都市システムをつくったのは人間です。そうであるならば、極論をすれば、すべての災害は人災なのではないか。都市をつくっていることさえも、そのシステムが様々なハザードに対して脆弱性を有しているならば、災害につながるということではないか。それをなんとかしたい。

この記事をシェアしてください。 ☺

舞妓さんのゴールデンホホバ

ほんまもんの

保湿力。

上質なホホバでお肌ケア
✔美白、アンチエイジング
✔クレンジングから洗顔後のお手入れまで、これ1本でオールインワンオイル
✔髪、頭肌のケア、爪の保湿
✔肌荒れ、乾燥肌などのお肌の悩み解決
関連記事
1
旧竹林院の紅葉特集 ~座卓に映る紅葉で人気急上昇中|MKタクシー
2
北木石が使用されている『三越日本橋本店』が重要文化財に!
3
京都の花折断層地震による想定被害が半減! 住宅耐震化進む
Maiko SNS
SNSで舞妓さん撮影会の情報発信中
人気のある記事
1
iPhoneを縦向きで動画撮影したときの編集方法
2
自動車運転免許の最高峰 けん引第二種免許とは
3
京都で生まれ京都で育った酵素浴「京の酵素浴」:ヒートショックプロテイン(HSP)入浴
4
寒咲のサクラ特集 ~秋から冬に開花するいろんな桜|MKタクシー
5
「Photography to create Maiko Art」参加者募集中!