MK新聞で平成11年6月1日号で掲載された記事の再録です。

京都で地名を指すときは、一般の住所と共に、通名がよく用いられる。 その通名が、場所によって変わるとしたら、それは大きな問題だろう。 この通は京都市交通局のある後院通から、九条通に至るまで「五条壬生川」「七条壬生(壬生川)」「壬生通」と名が変わっている。 この七条の標識も市政協力委員の古谷孝造氏の要望によって平成八年三月に「七条壬生川」から取り替えられたもの。 同氏は本来の「壬生通」に統一されるよう関係当局に働きかけ続けている。 ↓地図表示もクリックしてください。

壬生通は平安時代から「壬生大路」と呼ばれてきた由緒ある通だが、なぜ「川」がついてしまったのだろうか。 昔、川があった所が、現在は消滅してしまったという説もあるが、平安時代に「川」がついていないのだから、説得力に欠ける。 実際、京都市著作の『資料　京都の歴史第十二巻　下京区』の五二九項には「河川トシテ見ルベキモノナシ」とされている。 壬生通五条の西側に「中堂寺壬生川町」という町名があるが、この町名があやまって通名全体に名付けられてしまったのだろう。 ↓地図表示もクリックしてください。

地名を指すだけでなく通名自体が一種の京都の風情ともいえるだけにやはり由緒ある「壬生通」の名に統一すべきではなかろうか。 壬生通は、梅小路公園とJR線で二区間に分断されている。南側の通には、東寺や六孫王神社があるが、この六孫王神社も明治の鉄道施設によって境内の北側が大きく削られてしまった。六孫王とは御祭神の源経基王のことで清和天皇の第六皇子貞純親王の子(天皇から見れば孫に当たる)であることから、六孫王といわれる。 (今回の記事は市政協力委員、古谷孝造氏の協力を頂きました)